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人参について [生薬の話]

先日、中医学の勉強会に参加してきました。
その中で生薬の人参が取り上げられていたので、
今日はその人参について書いていきたいと思います。

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漢方薬で「人参」と書いているのはオタネニンジンのことをいいます。
朝鮮人参、高麗人参ともいいます。
八百屋さんでよく見るオレンジ色の人参は「西洋人参」といって区別します。

人参の効能は、一番に大補元気です。
人参は補気薬の代表で、気が不足している人に元気をつけさせてくれます。
胃腸の働きも高めてくれるので、食欲不振や消化吸収が悪い時にもよいです。
また、安神の働きもあるため、心神不安や夢を多く見たり、驚きやすかったり、
物忘れを多くするようになった場合にも、心神を安定させてくれます。

と書いたように、人参は正気が不足した人に大いに元気をつける生薬であるため、
実証や熱証の人には禁忌です。
特に、高血圧の人が服用するとさらに血圧が上がることがありますので、
人参エキス配合のサプリメントなどを常用している方は注意した方が良いでしょう。



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「紫蘇」について [生薬の話]

今日は、漢方薬の生薬に使われる紫蘇について見ていきたいと思います。

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「紫蘇」は、辛温解表薬のグループに属します。
外感風寒の症状(強い悪寒、軽い発熱、頭痛、関節痛、無汗)に、
胸がムカムカしたり吐き気がするなどの胃腸の症状が伴う時に用います。

「紫蘇」は、胃腸機能を調整し、消化を助け、吐き気を抑える働きがあるので、
胃腸型の風邪やつわりなどにも良いです。
また、魚介類の中毒やアレルギーも緩和することから、
生ものの魚などを食べるときは一緒に紫蘇を取ると良いです。
また、気の巡りを良くする効果もあるので、PMSや心が鬱々とする時に
料理に取り入れると良いでしょう。


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生薬の「五味」について [生薬の話]

漢方薬の生薬には「五味」といって、の5種類の味があります。
その五味にプラス、があります。

それでは、それぞれの味の働きを見ていきましょう。

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身体の表層にある病邪を発散させたり、気血を巡らせる効果がある。
主に、表証や気滞を治す。
(例) 麻黄、生姜、桂枝、細辛、薄荷、荊芥、
    紅花、木香、香附子、川芎など


補益し、緩和させるなどの効果がある。
主に、虚証を治し、疼痛を緩和し、薬性を調和する。
(例) 甘草、黄耆、阿膠、膠飴、粳米、熟地黄、大棗など


体外に排出させたり、乾燥させたりする効果がある。
主に、熱感や炎症のあるもの、湿証を治す。
(例) 大黄、黄芩、黄柏、黄連、知母、山梔子、牡丹皮など


収斂させ、固渋させるなどの効果がある。
主に、汗や下痢を止める。
(例) 五味子、山茱萸、芍薬など


固いものを柔らかくしたり、潤いを与えるなどの効果がある。
熱感のある便秘やしこりなどを柔らかくする。
(例)芒硝、牡蠣など


停滞している水液を排出したり、利尿させるなどの効果がある。
主に、浮腫、小便不利などを治す。
(例) 猪苓、茯苓、沢瀉、ヨクイニンなど


酸味の効果と似ている。鎮静する効果もある。
(例)竜骨、牡蠣など


タグ:生薬 五味

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薬膳食材を使って~山査子(さんざし)~ [生薬の話]

今日も、薬膳食材について書いていきたいと思います。

今回は、山査子(さんざし)です。


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山査子は、バラ科のサンザシの果実を乾燥させたもので、
写真のように、砂糖を加えて棒状に固めた加工品も売られています。
生薬では、食物の停滞を消化する「消導薬」のグループに属します。

中医学的には、食物の停滞による腹部膨満感、腹痛、下痢などの症状に使用します。
胃腸を健やかにして、消化を促進する作用があるので、
脂っこいものや脂肪の多いものを食べた後に服用すると良いです。
ただし、山査子は胃酸の分泌を促進させる働きがあるので、
胃酸過多や胃潰瘍の人は避けた方が良いでしょう。
また、活血散瘀の作用もあるので、瘀血による生理痛などにも良いです。


山査子のスティックを初めて食べてみましたが、甘酸っぱいお菓子のようでした。
煮込み料理に入れると、肉が早く柔らかくなるらしいので、
この山査子スティックを細かく刻んで入れています。
この前は、サバの味噌煮に入れてみましたが、いつもより柔らかくできました。






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薬膳食材を使って~棗(なつめ)~ [生薬の話]

今日も、薬膳食材について書いていきたいと思います。

今回は、「なつめ(棗)」です。


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なつめは、「大棗(たいそう)」といって、甘麦大棗湯など漢方薬にはよく使われます。
大棗は、気虚証に気を補う作用のある「補気薬」のグループに属します。

中医学的には、補中益気の効果があり、胃腸の弱い人や体のだるい人、
食欲不振、泥状便などの人に使用します。
女性の血虚による精神不安や更年期障害にも、養血安神の効果があるので良いです。
ただし、消化が悪くいつもお腹が張っている人や体が熱っぽい人には、
あまり向きません。

私は、玫瑰花と同じように紅茶などになつめを入れてから、
飲み終わった後に実をそのまま食べています。
お茶に浸すだけでは硬いので、あらかじめフォークなどで何か所か穴をあけると、
実が柔らかくなって食べやすいです。


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この前は、雑穀ご飯になつめの実を混ぜて炊いてみました。
「なつめを1日3個食べると年を取らない」と言われているので、
これからもちょこちょこ食べていきたいです(^^;







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